妊娠中って、体調の変化が激しいですよね。
個人差は大きいですが、つわりがひどくて起き上がれなかったり、入院や通院が必要だったり…。
切迫早産や切迫流産で長期入院する妊婦さんもいます。
妊娠しても働き続けているあなたは『もう有休がないから』という経済的な不安から、体調が悪くても無理をして出勤していませんか?
また、長期入院になってしまって、その間お給料がなくて大変な思いをされていませんか?
実は、そんな時には傷病手当金を受け取ることができるんです。
傷病手当金とは?
傷病手当金とは、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。
あまり知られていませんが、つわりなど妊娠中の体調不良で長期にわたり仕事を休んだ場合でも、傷病手当金を受け取ることができます。
ただし、妊娠中の女性本人が被保険者であることが条件。
専業主婦は傷病手当金をもらうことができません。
傷病手当金を受け取る条件
健康保険に加入している被保険者は、以下の条件をすべて満たすことで、全国健康保険協会から傷病手当金を受け取ることができます。
- 業務外の病気やケガ(この場合は妊娠にまつわる体調不良)で療養中であること
- 療養のため、仕事ができる状態ではないと医師により判断されていること
- 療養のため、4日以上仕事を休んでいること
- 仕事を休んでいる間、給与の支払いが発生していないこと
有給休暇が残っている場合、まずは有給休暇を使い切ってからカウントが始まります。
カウントが始まって4日目から傷病手当金の受給対象になります。
自宅で療養する場合は、医師の診断書が必要です。
傷病手当金の支給額
1日当たりの傷病手当金の金額は
支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(3分の2)です。
こう書くとなんだかわかりにくいですが、だいたい日給の3分の2×休んだ日数が支給されると考えてOKです。
仕事を休んでいても会社から給与が支払われている場合、その給与が傷病手当金の額よりも少なければ、差額を受給することができます。
傷病手当金が支払われる期間
同一の傷病について、支給を開始した日から最長1年6ヶ月まで受け取ることができます。
妊娠による体調不良は1年6ヶ月も続きませんから、休んだ期間のほとんどで受給できると考えてよいでしょう。
傷病手当金を受け取るための手続き
勤務先の保険担当部署に、健康保険傷病手当金支給申請書を提出する必要があります。
申請期限は仕事を休んだ4日目から2年以内です。
つまり退院後や出産後、休み始めてから2年以内でしたら、さかのぼって請求することが可能です。
傷病手当金は退職後でも受け取れる
仕事復帰が難しくなり、傷病手当金の受給中に退職してしまった場合でも、次の2点の条件を満たしていれば引き続き傷病手当金を受け取ることができます。
- 被保険者の資格喪失をした日の前日(=退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること
- 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること
傷病手当金を受け取らずに退職してしまった方でも、諦めずに申請してくださいね。
傷病手当金と出産手当金は同時に受給できません
出産のため会社を休んだ場合は、出産手当金が支給されます。
出産の日以前42日から出産の翌日以降56日目までの範囲で、会社を休んだ日が対象です。
この期間については、傷病手当金を受給することはできません。
ただし傷病手当金の金額が出産手当金より多ければ、その差額を受給することができますよ。
まとめ
妊娠中の体調不良や入院で傷病手当金が受給できることは、意外と知られていないのではないでしょうか。
お給料が一切もらえなくなったら困るからと、体調不良でも無理して出勤する妊婦さんも多いでしょう。
ですが、無理をして倒れてしまっては母子ともに危険にさらされてしまいます。
『妊娠は病気ではない』という言葉をよく聞きますよね。
これを『病気ではないんだから甘えるな』と解釈している人がいますが、大きな間違いです!
『妊娠は病気ではないから、治療法がない』というのが正解です。
症状が落ち着くまで、長ければ出産するまで体調がよくならないからこそ、『病気ではない』と言われるんです。
つわりなどの体調不良が辛い場合、決して無理はしないでくださいね。
条件さえ満たしていれば、傷病手当金は必ず受け取れますし、さかのぼっての請求も可能です。
条件に当てはまる方は、ぜひ申請してくださいね。